「六根清浄」

 

お彼岸の季節が近づいてまいりました。皆さんはお寺さんに読経していただいたり、お墓参りをしたり、お仏壇に御供えをしたり、それぞれのご家庭において仏さま、ご先祖さまへ感謝の気持ちを捧げ、ご供養をされることでしょう。形はどのようであれ、一番大切なことは、自身の体と心とを清らかにしてご供養に臨む、ということなのです。

よく行者さんや巡礼の先達さんなどが「六根清浄ろっこんしょうじょう六根清浄ろっこんしょうじょう」と掛け声を出している姿を目にされた方もいらっしゃいますでしょう。この「六根」とは一体何なのでしょうか。

『般若心経』の一節に「げんぜつしん」と出てまいりますが、物事をとらえる五つの感覚器官(眼・耳・鼻・舌・身)と、その五つを動かしている心(意)を合わせた六つのことをいいます。この六つの感覚の根元を清らかにしていないと物事を正しく判断することができず、誤ったことを体と心が覚えてしまい、煩悩の渦に巻き込まれてしまうのです。ですから、この六根を清らかにしようと自分自身に言い聞かせ、煩悩を断ち切るために掛け声を出しているのです。

何かをしようとして自分を奮い立たせるときに、思わず「どっこいしょ」と声が出てしまうときがありますが、この言葉は六根清浄が詰まったものだと言われています。私たちは知らず知らずのうちに、体も心も清らかになりたいという一心で「どっこいしょ、どっこいしょ」と努力をしていたのかもしれません。

お彼岸は仏さま、ご先祖さまへのご供養はもちろん、自身が現世において善行を積むのに適した期間とされています。体も心も清らかになるように心掛けて、ご供養に努めたいものです。