「六つのおつとめ」

 

 春の息吹が感じられ、そろそろお彼岸を迎える時期となりました。お彼岸とはあちらの岸、仏さまの世界のことをいい、そちらにたどり着けるように「六(ろっ)波(ぱ)羅(ら)蜜(みつ)」という善行を積むのに適した時期とされてきました。この期間に、布(ふ)施(せ)・持(じ)戒(かい)・忍(にん)辱(にく)・精(しょう)進(じん)・禅(ぜん)定(じょう)・智(ち)慧(え)の六つの波羅蜜行を積むのですが、実はとても身近なところでこの修行が実践できるのです。皆さんはお仏壇にどのようなお供えをしていますか?

 まずお水(お茶湯)。水は高いところから低いところへとどまることなく流れながら、全ての生きとし生けるものを潤していきます。こだわらず、惜しみなく施し与えることが布施であり、お水をお供えすることで布施の徳をいただきます。二番目に塗香(あまり一般家庭ではお供えしません)。修行僧が毎日香を塗って身を清めるように、仏さまの戒めを自分の身と心に擦り込むことで持戒の徳を授かります。三番目はお花。草木が風雪に耐え忍び、やがて美しい大輪の花を咲かせるように忍耐の徳をいただきます。四番目はお線香。線香の火が消えずに最後までくゆるように、たゆまずに努めることが精進です。五番目にご飯。食べ物をいただくと体が安らかになるように、仏さまを思い、心を落ちつかせる禅成の徳をいただきます。そして最後に灯明。闇を照らす導きの光は、仏さまの智慧と慈悲を表します。

 以上の六つのお供えの仕方を「六種供養」と申します。仏さまへのご供養をすることによって自身の善行の実践となるのです。ただお供えをするだけでなく、これらの意味をよく心に思いながらご供養に努め、仏さまの功徳をいただいて、私たちも彼岸の世界へたどり着きたいものです。