新嵯峨野物語
2017年6月の記事一覧

「新嵯峨野物語」第二十七話紹介

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「新嵯峨野物語」第二十七話が、月刊「嵯峨」6月号に掲載されました。

冒頭一部をご紹介致します。

第二十七話「苦悩する放縦不拘」 

 承和七年(八四〇)六月を迎えたある日のことです。右馬寮の広場で馬の調教をしていた在原業平へ、突然声を掛けてきた者がいました。振り向くとそこには、かなり高齢と思われる見慣れない老人が立っているのですが、その凜とした姿には、厳しい人生が刻み込まれているように思えます。

 「在原朝臣業平。話がある」

 不意の訪問客に茫然としている業平に、老人はぶっきら棒に言って表へ誘い出していきます。しかし出自の判らない訪問者でしたから、業平はどうしたらいいのかと戸惑っていると、それを察した老人は、

 「但馬権守橘逸勢。折り入って話がある」

 さっさと右馬寮から離れていきます。

続きは月刊「嵯峨」6月号にて掲載しております。

月刊「嵯峨」の詳細はこちらから。

「新嵯峨野物語」第二十六話紹介

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「新嵯峨野物語」第二十六話が、月刊「嵯峨」5月号に掲載されました。

冒頭一部をご紹介致します。

第二十六話「時代を生きる野狂」

 承和五年(八三八)の秋も深くなった十一月二十七日のことです。宮中の紫宸殿では皇太子恒貞親王(淳和太上天皇の第二皇子)の元服が執り行われ、仁明帝からは次のような発表がありました。「皇太子恒貞は立派な風姿を持ち、生まれつき性格が穏やかで宮城内で育ち、皇太子として宗廟(祖先のみたまや)の守りについている。幼稚を離れ成人となったので、良き日柄を選び初冠(成人式)をすることになった。恒貞は君臣・父子・兄弟・朋友の四礼を身に付けて元服し、優れた徳をますます明らかにし、先代を受け継ぎいよいよ栄えることになろう」(続日本後紀)

続きは月刊「嵯峨」5月号にて掲載しております。

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