新嵯峨野物語

「新嵯峨野物語」第五話紹介

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「新嵯峨野物語」第五話が、月刊「嵯峨」8月号に掲載されました。

冒頭一部をご紹介致します。

 

先帝桓武天皇の崩御を受けて、三十三歳で践祚した平城天皇による為政が、いよいよ始まろうとしている時です。
皇太子としてやがて為政にかかわるその時に備えて、先帝の足跡を辿っておきたいと考えた神野親王は、気心の知れた元乳母であり、侍読を務めたこともある笠道成に協力をさせて、真摯に作業をしつづけていらっしゃいました。
早朝から馬を駆って、春宮から走り出て行かれる姿を見かけた若い官人たちは、その真剣で緊張した様子を怪訝に思って、密かに先達に問いかけたりするのですが、春宮大夫も畏れ多くて、とてもそのようなことを問い質したこともありませんから、適当に返答をするしかありません。
「先帝の治国のあり方を、学んでおられるに決まっておるではないか」

 

続きは月刊「嵯峨」8月号にて掲載しております。

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「新嵯峨野物語」第四話紹介

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「新嵯峨野物語」第四話が、月刊「嵯峨」7月号に掲載されました。

冒頭一部をご紹介致します。

 

平城天皇の皇太子神野親王が、夜明けを待ちかねたように春宮を出ると、用意させてあった駿馬を駆って、嵯峨野の山荘へ向われるようになって四日目になります。
いつか自らが朝廷を率いるときに備えておこうと思い立たれて、かつて神野の侍読を務めた、笠道成に手助けをさせながら、先帝桓武天皇の足跡を辿る真な作業をつづけていらっしゃったのです。
その日道成は、
「本日はもう一度、時代をさかのぼって頂こうと思います」
思いがけない提案をしてきました。

 

続きは月刊「嵯峨」7月号にて掲載しております。

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「新嵯峨野物語」第三話紹介

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「新嵯峨野物語」第三話が、月刊「嵯峨」6月号に掲載されました。

冒頭一部をご紹介致します。

 

平城天皇の皇太子神野親王は、今日も夜明けとともに春宮を出ると、駿馬を駆ってお気に入りの嵯峨野の山荘へ向かって行かれました。そこにはすでに、笠朝臣道成という者が、親王のお出でになられるのを待っているはずです。
今日は三日目の作業が行われるのですが、春宮に努める官人たちは、にわかに早朝からお出かけになられる神野の姿を見て、怪訝に思いながらも、どこへ何をなさりに行かれるのかなどということを、問い質すようなことはできませんから、多くの者はお好きな嵯峨野の原野を駆け巡っていらっしゃるのだろうと思っていたに違いありません。
そこで今回は、神野と道成の作業に立ち会わせていただく前に、これまで不充分であった彼女についての説明を、判っている範囲で紹介させて頂こうと思います。

 

続きは月刊「嵯峨」6月号にて掲載しております。

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