「新嵯峨野物語」第十七話が、月刊「嵯峨」8月号に掲載されました。
冒頭一部をご紹介致します。
第十七話 「思いを秘めた紫野行幸」
弘仁十三年(八二二)の正月を迎えましたが、朝廷はひき続き厳しい現実と向き合わなくてはなりませんでした。降雨がなく、厳しい日照りが続くという状態なのです。夏を迎えると稲苗が枯れてしまうというのに、田に水を引くことも困難になってしまいますから、その問題を解決するために、貧民を先にして富民を後にさせるというようなことまで決めなくてはならなくなっていたのです。「群神に急ぎ奉幣したのだが、少しも反応しない。『詩経』(五経の一つで中国最古の詩集)にも大変な旱魃が起こってしまい、心配で燻るような気持ちだと書いてある通りだ。朕と皇后は、使用する物を削減しようと思う」(日本後紀)自らの日常を引き締めながら、貧しい者に物を与えて救済したり、疫病が発生した所には、使者を送って救済したりしていましたが、嵯峨帝の意向に沿って公卿たちからも、しばらく俸禄を減じたいという申し入れがありました。政治を司る為政者たちは、みな協力して困難と闘おうとしていたのです。
続きは月刊「嵯峨」8月号にて掲載しております。
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