高円宮妃殿下お成りのなか 有栖川宮慈性親王150回御忌法会を厳修

高円宮妃久子殿下、法会出仕者と記念写真

高円宮妃久子殿下、法会出仕者と記念写真

平成29年度嵯峨天皇奉献華道祭が4月7日から9日までの3日間「はなまんだら」をテーマに開催されました。

今年は高円宮妃久子殿下にお成りいただき、嵯峨御流創流1200年お待ち受けとして、嵯峨天皇奉献華法会並 びに有栖川宮慈性親王150回御忌法会を厳修しました。

 

 

 

 

初日7日午前9時45分、献華者、職衆が式台玄関前に整列。勅使門から石舞台へと進列し、御影堂に入堂しました。まずご宝前に慈性親王さま御尊牌を奉安し供華、雅楽が奉納されるなか花手前が披露され、献華、献菓、献茶奉納が行われました。引き続き、伊勢俊雄執行長が回向文を捧読し、献華代表の辻井ミカ華務長が願文を捧読するなか、御臨席の高円宮妃久子殿下より献香を賜りました。

有栖川宮慈性親王様の墓所参拝

 年が改まり天皇皇后両陛下をはじめ、東宮御所、各宮家のご機嫌をお伺いする宮中天機奉伺に、1月18日、黒沢全紹門跡猊下、草津栄晋総務部長が参内しました。
大覚寺顧問の戸枝明氏とともに、午前9時30分から皇居、東宮御所、各宮家、宮内庁に参内して新年のご挨拶を行い、修正会で祈願した護符、ご祈祷札と御供物を献上しました。その後、寛永寺内にある大覚寺最後の宮門跡であられた有栖川宮慈性親王様の墓所を参拝し、帰途に就きました。

 有栖川宮慈性親王様は、嵯峨天皇様をはじめ歴代天皇様の勅封心経を奉安する心経殿の建立を願われながら慶応3年12月7日薨去なされた大覚寺最後の宮門跡であられます。平成29年の4月7日には、有栖川宮慈性親王様の月御命日にちなんで御忌法会を執行させていただきます。ご法会は大覚寺門跡猊下を御導師として、嵯峨御流による花手前・供花などと共に雅な中にも厳粛に執行されます。

 

黒沢全紹門跡猊下 宮中新年歌会始にご列席

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平成28年1月14日宮中にて催された歌会始のようす

 新年の一月十四日は、後七日御修法の結願の日でもありましたが、この日、私たち大覚寺派と嵯峨御流華道関係者にとりましては、とても光栄な日となりました。それは、十数年ぶりに大覚寺門跡猊下が宮中歌会始において、ご列席の栄に浴されたことであります。

 私たち嵯峨御流華道では、皇室に縁深き大覚寺を総司所とする所以から、毎年、歌会の御題を花器としてお披露目申し上げる「御題花器」、また、「御題花」の発表を続けてまいりました。平成二十八年の御題は「人」であり、御題花器も「人」を表現して作られました。

 天皇陛下にあられましては「戦ひにあまたの人の失せしとふ島緑にて海に横たふ」と詠まれ、戦後七十年を迎える日本国をはじめ、世界で起こってきた戦争で多くの命が失われたことに心を痛められ、西太平洋のパラオを訪問なさったときのことを歌にされました。私たちも、後世における平和のあり方を考え、人々が互いに理解し合える世の中を創造しなくてはなりません。それはきっと代々の天皇さま、そして、私たちのご始祖・嵯峨天皇さまの御心にもあられたように、世の中の安泰を願い誠を尽くして浄写された御写経につながるのではないでしょうか。 

 また、皇后さまは「夕茜に入りゆく一機若き日の吾がごとく行く旅人やある」と詠まれ、夕空に飛行機を眺めながら、ご成婚前に旅されたことを思い出し、その飛行機には同じような若者が乗っているのだろうかと想像されたことを歌になされました。

 今回、私たちは勅封心経御開封の千二百年目という、たいへんありがたい節目を迎えます。永く伝わってきた歴史の紐を解き、なおかつ、多くの方にご縁を結んでいただけるようにしなくてはならないと日々、各関連機関と検討を重ねております。歌会始への陪聴参内を大きなご縁として、今後も皆さま方のご理解とご協力を切にお願い申し上げる次第であります。

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嵯峨御流平成28年御題花器「人」

嵯峨菊とは

sagagiku001嵯峨菊は、嵯峨天皇がその気品ある姿と香りを好まれ、この独特の古代菊を、永年にわたり王朝の感覚を持って育成し、一つの型に仕立て上げられた風情と、格調をかねそなえた菊が大覚寺「門外不出」の嵯峨菊です。この菊の仕立ては一鉢に三本仕立てとし、長さは約二メートルに育成いたします。これは殿上から鑑賞されるために高く育てているのです。
花は、下部に七輪、中程に五輪、先端に三輪で「七五三」とし、葉は下部を黄色、中程は緑、先端を淡緑と、四季を表しています。花弁は、糸状で五十四〜八十弁程、長さは約十センチの茶筅状が理想とされます。淡色の花々が色とりどりに美を競い、格調高い香りを漂わせています。

高円宮妃殿下のお成り

 

この門外不出の嵯峨菊の伝承のようすを、直接、大覚寺でご覧になりたいとのご希望により、平成二十六年十一月二十五日、高円宮妃殿下がお成りになられました。
大覚寺宸殿の特別会場において、辻井ミカ華務長による嵯峨菊を使った嵯峨御流華道のデモンストレーションをご覧になられた後、嵯峨菊会幹事・清水幸雄氏、同じく若狭五十鈴氏より嵯峨菊の伝承や栽培の苦労談をお聞きになられました。つづいて黒沢全紹門跡猊下、服部精村宗務総長のご案内により、心経前殿にご入堂され、高円宮憲仁親王殿下のご尊牌にご献香。さらに、心経殿の前にて服部宗務総長から、平成三十年の勅封般若心経一二〇〇年戊戌開封法会ならびに嵯峨御流創流一二〇〇年についての説明をお聞きになられました。
このように、皇室の方のお成りのようすを拝見しましても、大覚寺が旧嵯峨御所として皇室とのご縁深い事実が垣間見えてまいります。
この度の高円宮妃殿下の大覚寺お成りは、来る平成三十年への良き励みとなったように思います。

※嵯峨菊会も、この度の戊戌記念推進事業における協力団体として大切な存在であります。

 

嵯峨菊をご観覧になられる妃殿下

嵯峨菊をご観覧になられる妃殿下

花衣桁に嵯峨菊を挿花

花衣桁に嵯峨菊

 

 

 

 

 

 

 

嵯峨天皇が愛された嵯峨菊

お成り001ご存知でしょうか。旧嵯峨御所大本山大覚寺には、門外不出とされる秘花『嵯峨菊』が伝承されております。
このお花は、嵯峨天皇さまがこよなく愛でられたと伝わるもので、大覚寺の位置する京都の北嵯峨地方の気候風土でしか美しく調うことが出来ないと言われています。
このお花の伝承のために「嵯峨菊会」という護持会が大覚寺の運営でなされておりますが、会員の方々も真剣にこのお花の伝承と護持にご協力くださっています。