2015年8月1日 | 戊戌だより
7月1日午前の写経法要後、大覚寺心経会ご本尊「秘鍵大師」ご尊像、そして嵯峨御流ご始祖「嵯峨天皇」ご尊像造顕のノミ入れ式が執行されました。
来る平成30年に嵯峨天皇宸翰勅封般若心経1200年戊戌開封法会をお迎えする祝縁をもって、この度「秘鍵大師」ご尊像、「嵯峨天皇」ご尊像を仏師藤田尚樹先生に製作いただくこととなりました。
ノミ入れ式とは、「御衣(みそ)木(ぎ)」といい、いわゆる神仏の像を造る時に用いる木をお加持することにより、穢(けがれ)を除き、霊性を持たせるために行なう儀式です。
服部精村執行長による御衣木加持作法の中、黒沢全紹門跡猊下より仏師の藤田先生に十善戒のお授け、三昧耶戒のお授けがあり、藤田先生よりノミ入れ初めが行なわれました。続いて黒沢門跡猊下によりノミ入れがなされた後、内局、僧職員、辻井ミカ華務長の順にノミ入れが行なわれました。
その後、多くの心経会員の方もノミ入れを行ない、貴重な体験をしていただくことができ、大変満足していただきました。
仏師 藤田尚樹先生の紹介
東京都出身。東京藝術大学大学院保存技術・彫刻博士課程修了。仏教造形研究所、東京芸術大学勤務を経て、東京に個人工房を構える。平成18年より、市民から専門機関を対象に文化財の紹介を行なっている「美術保存パートナーズ(ACP)」に参加。日光輪王寺天海僧正修理、奈良県法隆寺百済観音像天蓋製作等数多くの文化財の保存、制作に携わる。
2015年7月8日 | 戊戌だより
宗務総長ご挨拶
真言宗大覚寺派諸大徳各位、いけばな嵯峨御流全国門人の皆さま、大覚寺有縁の各企業、関係各位におかれましては、平素より大本山大覚寺ならびに嵯峨御流華道総司所の護持発展のためにご理解とご協力を賜っておりますこと、心より御礼申し上げます。
戊戌だよりも三号を迎えました。平成三十年まであと三年でございます。皆さまと共に、またとない勝縁の年をお迎え申し上げたく、何卒ご理解とご協力の程重ねてお願い申し上げます。
本年は、弘法大師さまが、嵯峨天皇さまより高野山の山上に道場を開いて良いというお許しを得られてから千二百年でございます。
去る三月十六日には、高野山第四百十三世座主・中西啓寶猊下が、旧嵯峨御所大覚寺にご参詣、古式の先例に随って嵯峨天皇さまに開創法会の無魔成満をお祈りなされました。
四月二日から始まった各種記念法会は実に五十日におよび、その中でも特に五月十五日には、私共大覚寺が担当で、記念の慶讃法会を執行させていただきました。
各山の特色ある法会をというお話でございましたので、大覚寺におきましては嵯峨御流による献華式を附した心経法会において、全国より出仕の大覚寺派青年教師会の精鋭による般若心経秘鍵を中心とした組み立てとしました。
特に、高野山の地は、大覚寺始祖たる嵯峨天皇さまが弘法大師さまに下賜された由縁をもって、嵯峨天皇さまの「御尊牌」を鳳輦に載せ奉り、学校法人大覚寺学園「京都嵯峨芸術大学」の学生七十名が白朱の千早に身を包み、大行列を組んでの進列となりました。
法会では、嵯峨御流華道総司所理事の西村強甫・光岡道寛の両先生による花手前。献華代表を勤められた華務長・辻井ミカ先生による願文捧読。大導師をお勤めなされました大覚寺門跡・黒沢全紹大僧正猊下とその両脇に、金剛界の供養法師は小衲服部、胎蔵界の供養法師には草津栄晋教務担当執行が、同時に振鈴を作法する響きの中、青年教師による高らかな声明と読経が勤められ、青年教師会長・服部教弘師による慶讃文捧読がなされました。
全国から檀信徒をはじめ、大覚寺心経会員らと共に参詣された大覚寺派寺院ご住職方が正面において、高野山金堂・秘仏薬師如来様に次々にお焼香され、おごそかな雰囲気の中、無事に法会は修了。境内にあふれる参詣者に囲まれ、門跡猊下を先頭に、全員が晴れやかな気持ちで高野山金剛峯寺の本坊へと還列いたしました。
ぜひ、来るべき平成三十年戊戌開封法会も成功裡に厳修させていただければと存じ、今後とも皆さま方のご厚情とご協力をお願い申し上げる次第でございます。
2015年7月8日 | 戊戌だより
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金堂内での供華
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還列する諸衆
《 嵯峨御流和歌山司所により 》
五月二十一日には、ついに高野山開創千二百年記念大法会の最後を飾る「結願法会」が、中西啓寶座主猊下大導師のもとで厳粛に執行されました。
その際にも、私共いけばな嵯峨御流による献華を依頼されました。
献茶は、裏千家御家元による伝統に則ったお作法でありました。
出仕されたのは、嵯峨御流和歌山司所(岡田芳和司所長)であり、献華をお勤めされましたのは嵯峨御流華道総司所・副総裁の岡田脩克先生です。
また、和歌山司所の法印・権法印の先生方を後見として司所・和歌山大学・和歌山信愛女子短期大学の学生さんたち合計七十名が千早姿で出仕。高野山僧侶方による職衆進列に先だって、堂々たる大行列となりました。
花手前では岡田副総裁が、高野槇で金剛界・胎蔵界の一対の花をいけあげられ、千二百年を祝う高野山開創法会の締めくくりに、文字どおり花を添えられました。