「新嵯峨野物語」第十三話紹介
「新嵯峨野物語」第十三話が、月刊「嵯峨」4月号に掲載されました。
冒頭一部をご紹介致します。
第十三話「嵯峨源氏始まる」 弘仁四年(八一三)夏前のことですが、嵯峨帝は異国からのさまざまな接触を受けることになり、何が起こるか判らないという心配がありました。そのために、まず朝廷内の結束を確認しておかなくてはならないと考えられて、親しい関係を保ってきている近衛大将藤原冬嗣の閑院という名を持つ邸宅を訪問されたり、続いて弟である皇太子の大伴親王の屋敷である南池院(平安京右京四条に所有していた)へ、右大臣藤原園人など重臣たちを伴って行幸されたりすることもありました。 園人は苑池を巡りながら、こんな歌を詠みます。 今日の日の 池のほとりにほととぎす 平は千代と鳴くは聴きつや (今日、池の辺でほととぎすが、平安京は千代に栄えるよと鳴くのを、お聴きになりましたでしょうか) それに対して帝はこんな歌を返されました。 ほととぎす 鳴く声聴けば歌主と 共に千代にと我も聴きたり (ほととぎすが鳴くのを、和歌に詠んだ園人と共に、朕も平安京が千代に栄えると聴いた) 雅楽寮の楽人が音楽を奏するなかで、文人たちに詩を作らせたりしましたが、園人は喜びと感謝の気持ちを表そうと舞踏を行ったといいます。
続きは月刊「嵯峨」4月号にて掲載しております。
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